実用書紹介:「完璧なリーダー」は、もういらない(長尾 彰)
数年前に売れた「宇宙兄弟」の主人公、六太を例として一般的なリーダー像は現代では古い。六太こそ現代のリーダー像に当てはまるとのこと。
宇宙兄弟はちょうど5巻ほど読み始めていたので購入。新しいリーダー像についてと、使えそうな考え方について書いていきます
1、なぜ六太が優秀なリーダーに?
宇宙兄弟を読んだことがある人からすれば、主人公の六太がリーダーとして優れているといわれてもピンとこないと思います。六太は優秀な弟との差にコンプレックスをかかえ、いまいち自分に自信を持てないでいる様な人物です。一般的にに考えればリーダーとしては適任ではないように思います。しかし、リーダーシップの考え方を変える事で六太は優秀なリーダーとなりうるのです。
2、賢者風リーダーと愚者風リーダーについて
著者は一般的なリーダーを賢者風リーダーと呼称しています。いわゆる優等生タイプで頭脳明晰で決断力があり、自分の信念を強く持ちチームを引っ張て行く存在です。
一方で筆者がすすめているのは愚者風リーダーです。愚者風リーダーはまず自分を完璧だと思っていません。チームを引っ張るのではなく、チームの意見に耳を傾け、自分は具体的な指示ではなく抽象的に「こうしたい・ああしたい」だけを伝えます。愚者風リーダーの場合、頼りになるとはあまり思われないかもしれません。ただ、一緒にいるとなぜかうまくいくのです。
3、賢者風のデメリット、愚者風のメリット
賢者風のデメリットは、「しんどい」ということです。常に自分が優秀であろうと努力し、周囲からの信頼を勝ち取る努力をし続けるのです。先頭のポジションは1つしかないので、もしかすると主導権争いなどもおき、本来の目的とは関係ないところにもエネルギーを使う必要があります。
愚者風のメリットは、「しんどい」がないことです。著者によれば、リーダーの役割とはメンバーを仕切る、命令することではなく、「リード」することなのです。例えば5人のチームがあったとすれば、愚者風リーダーは常にリーダーであろうとしません。場面に応じて、リーダーの役割をメンバーに譲渡するのです。各メンバーごとに得意分野の応じてリーダーをしてもらうのです。賢者風リーダーが人の上に立とうとする事で、そこには、「競争」が生まれます。これに対して愚者風リーダーはチームを共に創り上げるイメージ、「共創」をしていくのです。
4、まとめ
この本に関しては、初めて部下を持つ人やチームビルディングに関して学びたい人におすすめです。宇宙兄弟を読んだことがある人ならより内容が分かりやすいと思います。
たしかに、情報社会の中で、すべての分野でリーダーになろうとすることは効率的でないかもしれません。スポーツ界の不祥事でもありますが、これからの時代のリーダーについては、より他人との相互理解が必要と思われます。